
フランス北西部に位置するブルタ−ニュ地方は、英仏海峡と大西洋に突き出た半島です。豊かな自然と独自の文化をもつことで知られています。 エメラルドの海岸、ピンクの花崗岩の海岸などの美しいビ−チ、険しくそびえ立つ断崖が連なる海岸線。また内陸部には伝説の森と湖、風車跡のある田園風景、壮麗な城など、素晴らしい景観が訪れる人々を魅了しています。
牡蠣や帆立、オマ−ル海老をはじめ実に多様な海産物、加塩のバタ−や、牛豚肉、りんご酒等の産地であり、蕎麦粉を使ったクレ−プ(ガレット)も名物料理です。

多くのフランス人がラテン民族であることとは異なり、ブルタ−ニュの人々(ブルトン)は、ケルト民族を祖先としています。言語も文化も長い間独自のものを保ってきました。堅牢な建造物を次々につくっ たロ−マ人や、組織づくりに長けていたゲルマンの人々に対して、先住のケルト人たちは、自由な気風を持ち、自然を畏れ神秘的なものを敬い続けた民族であったと言われています。
西欧文化の深層に隠されたとも言うべきこのケルトの世界が注目される今日、彼らの文化が色濃く残された地、ブルタ−ニュを知る旅に出かけてみませんか。






フランス政府観光局資料より
ブルタ−ニュの歴史は、新石器時代にさかのぼります。 ブルタ−ニュ南部にあるカルナックには巨石群の遺跡があり、メンヒルと呼ばれる0.8〜6.5mの立石が東西に5千近くも並んでいます。 紀元前4670年から2000年の新石器時代に、どのように運ばれ、立てられたか、また目的も謎のままです。
紀元前6世紀にはケルト人がこの地に住みました。ケルトのウェネティ−族のすんでいたこの地方は、カエサルによって前56年に征服され、ロ−マ帝国の支配下におかれます。5世紀になって西ロ−マ帝国が衰退に向かうと、フランク族などのいわゆるゲルマン民族の支配が始まります。フランス語のもとになる、ガロ=ラテン語はこの時代に成立しました。 この5世紀半ばから、ブリテン島からのケルト人たちが再び移動してきて、小ブリタニア(フランス語でブルタ−ニュ)と呼ばれるようになりました。この再なるケルト化は7世紀はじめまで続きます。
9世紀になると、ブルタ−ニュの英雄ノミノエがブルタ−ニュを統一し、西フランク王国にブルタ−ニュ公国の独立を認めさせました。その後幾度もノルマン人の侵入を退け、フランスとイギリス双方と戦いながら独立を守ってきました。しかしフランスの圧力にあって、1532年正式にブルタ−ニュはフランスの一部となるのです。 このような歴史を背景に、何世紀にも渡ってブルタ−ニュは独自のアイデンティティ−を保ち、自らをブルトンと呼び、ブルトン語を話し続けたのです。
ブルトン語 |
フランス語 |
日本語 |
|---|---|---|
Demat |
Bonjour |
こんにちは |
Kenavo |
Au revoir |
さようなら |
Trugarez |
Merci |
ありがとう |
Yec'hed mat |
Santé |
乾杯 |

紀元前8世紀頃、ヨーロッパに初めて鉄を使いこなす民族が現れました。 後にギリシア人により、ガリア人、ブリトン人と呼ばれた彼らが、ヨーロッパの人々の先祖「ケルト民族」です。 紀元前の500年間には、その活動範囲、高度な文化の面でも絶頂期を迎え、ローマ人によって西へ追われるまでの間、ヨ−ロッパ全土で栄光を誇ります。
古代ケルト人の自由の精神は、度重なる民族移動、多神教、また見るものに解釈の自由を残すという芸術表現に現れました。 優れた農耕技術をもつケルト人たちは、 ヨ−ロッパを穀倉にしました。この農本主義経済がケルトに豊かな富をもたらし、彼らの自由な精神性の基盤になっていました。 豊かさは絢爛豪華な彼らの装飾芸術にも象徴されます。装飾品、生活用品に施された装飾模様の緻密な技巧。自然をモチ−フにしたものが装飾性を増し、幻想的な模様へ。
彼らは曲線を好んで用いました。ロ−マ人による写実芸術の出現にあっても、その有限的性格が好まれずケルト人たちの間にはあまり広まりませんでした。迷宮のような曲線模様には始まりも、真ん中も、終わりもなく、外に向かっていたものがいつしか内へ収斂していきます。渦巻き模様の多用、内側に同じような模様が繰り返されるフラクタル的な模様もみられます。このケルトの人々の自由奔放性、不確実性への嗜好は、自然というものを捉えていた彼らの視点を透かしてみせてくれるようです。私たちが今世紀になって証明したものを古代ケルト人たちはすでに知っていたのかもしれません。科学と合理主義によって今日忘れられようとしている、人間のもつ想像力。ひとつのものを多面的に捉える姿勢。ケルトの人々の文化遺産を、皆さんはどのように受けとられるでしょうか。

ブルターニュ出身の、若手女性アーティスト、ソフィー・ダルレー。
伝統にとらわれず、ポップアートのような色使いやイラストのようなタッチで、民族衣装であるコワフ(帽子)やサボを身につけたブルターニュ女性を表現豊かに描いています。
一般的に「ブルターニュ女性」というとお堅いイメージがあるのですが、彼女の作品に描かれている女性達は気軽で明るく、親しみやすい雰囲気を持っています。
「お決まり」から逸脱し、非常に現代風で、大胆で、チャーミング。また、まるで男性との会話の最中のような、美しく、いきいきした女性達の表情やあどけない素振りなどがありのままに描かれています。
